仕事と子育ての両立が当たり前となった今、多くの保護者さまが、
「時間がない」という課題をもっているようです。
子どもと過ごす時間は物理的に少なくなり、
それに加え、子どもにやらせてあげたいことは増加の傾向に。
追われるように子育てをしているという声も、
よく聞こえてきます。
時間がないなら、効率化…。
しかし、子どもの育ちを効率化することはできません。
詰め込み教育にならぬよう、
子どもの「今―ここ」を大切にする子育てに向かうために、
どうすれば良いのかを考えていきましょう。
詰め込みだけでは後伸びしない
子どもたちはとても忙しい日々を過ごしています。
習い事の選択肢は膨らみ、家庭でのオンライン学習にも、
様々な魅力的なコンテンツが登場してきています。
平日は時間がないため、週末は習い事はしご状態に…。
こんな光景も、首都圏では珍しくはありません。
子どもたちが公園でのんびり遊んでいた過去の光景と比較すると、
今どきの子どもたちの日常は大違い。
情報や知識をインプットし続ける状況にあるのが、
今どきの子ども達かもしれません。
意識をしなければ、詰め込み教育に偏ってしまいます。
脳が大きく成長するこの時期、
もちろん知識をインプットすることは大切です。
しかし、インプットされた知識は、自分の中で整理され、
それまでの経験や知識と結びつき、ようやく使える知恵となるわけです。
このプロセスこそ、子ども達に積ませてあげたい経験であり、
子どもが咀嚼する余裕もなく、詰め込みすぎるのは混乱を招きます。
また、インプットに偏った学習は、
暗記力を問われる問題には短期的な効果を示すものの、
今重視されている思考力や表現力には、なかなか繋がりません。
詰め込みだけでは、「後伸び」は期待できないでしょう。
詰め込みを避ける2つの方法
では、学んだことを確かな力とするためには、どのような方法があるのでしょう。
ここでは2つの方法をご紹介します。
1. インプットとアウトプットの循環
子どもにアウトプットさせる時間を確保する。
これは、詰め込み回避にはとても役立ちます。
アウトプットさせるとは、知識を得た後に、振り返る時間を取り、
子どもの言葉を引き出すということ。
子ども自身が、経験を自分の言葉にするという行為です。
学んだ知識を自分の経験とするには、
自分の言葉にすることが大切です。
難しい言葉を使わなくても大丈夫。
経験を振り返る、その時間が大切なのです。
インプット(知識を習得/経験させる)と
アウトプット(振り返って言語化する)を
ぐるぐると循環させましょう。
習い事に行って終わりではなく、習い事から帰ってきてから、
その時間を振り返り、言葉にすることがとても大切です。
ところが、アウトプットは一人ではできません。
そこで、周囲の大人が子どもにどう関わっていくかが、
鍵となってきます。
例えば、子どもが習いごとから帰ってきたら、
こんな質問をしてみましょう。
「今日はどんなことが面白かった?」
振り返りといっても、決して難しく考える必要はありません。
子どもが楽しく話せる質問を準備して、
ゆったりと対話できる時間を設けてみましょう。
もちろん、まだ言葉をあまり知らない幼少期の子どもは、
外での経験を正確に話せるわけではありません。
事実とは異なる、想像の世界のことが返ってくることもあるでしょう。
しかし、それでももちろんOKです。
大切なのは、子どもが経験を振り返り、その経験を自分なりに表現すること。
得てきた知識や経験を、自分なりにアウトプットすることです。
ただでさえ忙しい日常、
雑談をしている暇などないとお感じかもしれませんが、
急がば回れ。
子どものアウトプットは、学んだことを使える知恵にするためにも、
興味関心を広げるためにも、とても大切です。
2. セカンドクエスチョンを意識する
さらに、子どものアウトプットの質を高めるためには、
セカンドクエスチョンを意識することがおすすめです。
親:「今日はどんな面白いことがあった?」
子:「〇〇が面白かった」
親:「そうか、〇〇が面白かったんだね。〇〇のどんなところが面白かったの?」
という具合です。
親:「今日はどうだった?」
子:「つまらなかった」
親:「そうか、つまらなかったんだね。本当はどうしたかったのかな?明日はどうしようか?」
このようなセカンドクエスチョンも良いですね。
子どもの言葉に、「そうなのね」で返すだけでなく、
「そうか、どうしてだろうね」等のセカンドクエスチョンを入れることで、
一往復の対話が、何往復もの対話に広がります。
そのやり取りの中で、子どもは深く思考し、
自分の考えを表現するようになるのです。
アウトプットの質が圧倒的に高まります。
子どもの世界を楽しもう
これからの教育では、情報を鵜呑みにすることなく、
常に立ち止まり考える姿勢が求められますが、
考える習慣は、その基盤となる力を育みます。
特に、子どもが壁にぶつかったり、失敗経験をした時がチャンスです。
子:「うまくいかない!」
親:「そうか、悔しいね。どうすればうまくいくかな?」
「どうすればうまくいく?」の答えには、
突拍子もないようなことが返ってかもしれませんが、
「そんなことができたら楽しいね」と、まずは受け止めてあげましょう。
子どもは想像力がとても豊かで、
その想像の世界の話をすることが大好きです。
どんどんアイディアが広がり、
どんどん言葉が出てくるでしょう。
また、子どもには、親には思いもつかないような発想力をもっています。
これからの時代は、そんな発想力が求められる時代で、
私達大人は、子どもの発想力から学ぶことが沢山あるのかもしれません。
大人が子どもに教えてあげるという考え方を外し、
子どもの世界にはいってみる。
そして、子どものアウトプットを楽しんでみる。
そこには、きっと今しか見えない、聞こえない、
私達が忘れかけている素敵な世界があることと思います。
お子さんとの時間を是非楽しんでくださいね。
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