子育てに関する情報が圧倒的に増えた今、正しいとされる子育ての考え方も、一般的となりました。
それが理由か、ご自分の子育て論を美しい言葉で述べられる人は増えたように感じます。
しかし、実際には…?もしかすると、口にする言葉と実際の子育てには大きなギャップがあるかもしれません。
わかったつもりで、なかなかできていないことも、多くあるように思います。
言葉が独り歩きしている…という状況です。
この状況を回避するためには、「言葉の意味を深く理解すること」が役立ちます。
その言葉の意味を、我が家の文脈に置き換えながら、自分なりに深く理解する。
わかったつもりを脱却すれば、きっと行動変容を起こすことができるでしょう。
今回は、わかったつもりになりがちな、「受容」について深めて参りましょう。
受容とは
まずは、受容という言葉の確認から行ってみましょう。
・受容とは、受け入れること。
・相手のありのままを受け入れること。
具体的には、相手の言葉や感情等を、自分の価値観で評価したり、批判したりすることなく、相手をそのまま
受け入れる行為のことを、受容と言います。
人には、一人の価値ある人間として、生まれながらに尊厳を持つ人間として、受け止められたいという欲求が
あるそうです。もちろん子どもも同様です。
よって、本来子どもが持っている、「受け止められたい」という欲求を満足させるために、子どもに対する
受容的な態度が必要ということになります。
生理的欲求に近いものなのかもしれませんね。
他方、受容とは、相手の欲求や態度を「そのまま受け入れること」とは異なります。
できないことは「できない」と毅然とした態度で伝えますし、何もかも受け入れるということではありません。
もちろん、子どもの言いなりになることではなく、
子どものやりたいことをすべて叶えてあげるわけでもありません。
勘違いが起きやすい部分かもしれません。注意したいものです。
こう考えみると、子どもを受容しつつ、自分の意見を伝えることも可能である…ということになります。
しかし、親の意見とど子もの意見が異なる場合には、どうすればいいのでしょう。
「それは違うと思う」
「あなたは間違っている」
これでは、子どもは自分の意見が受け入れられないことに癇癪を起こしてしまいます。
更には、自分の意見を言わなくなってしまうかもしれません。
毎日こんなやりとりが続いていると、子どもは親の機嫌を取るようになってしまい兼ねません。
子どもの意見と自分の意見が異なる時はどうする?
では、子どもの意見と自分の意見が異なる時に、親はどう対応すればよいのでしょうか。
1. 受容的な態度で話しを聴く
子どもの話しをまずは一旦受け止める姿勢が必要です。
正しいか否かはさておき、今現在、子どもが「そう思っている」「そう感じている」のは事実です。
ですから、まずはその事実を受容してあげます。
「あなたはそう思っているんだね」
この言葉こそが「あなたを受容しているよ」というメッセージ。子どもは、自分が受け止められていると
感じることでしょう。その後は、子どもの思いを受け止める態度で、
「どうしてそう思うか教えてくれる」
と、子どもの話を聴きましょう。
子どもなりに、理由を話してくれるはずです。
まだ、言葉数が少ない子どもでも、真剣に耳を傾ける人がいれば、単語をつなぎながらでも、
自分の心情を話してくれることと思います。
話しを聴く際には、自分の心をニュートラルに保つことが必要です。余計な解釈はつけていないかを
確認しながら、「この子はどんな世界を見ているのだろう」と察しながら子どもの話を聴いてください。
親が自分の話を聴いてくれるだけで、親子の関係は安心、安全な関係となり、子どもの心は満たされる
はずです。
2. 自分の考えはIメッセージで伝える
子どもに「もっと良くなってもらいたい」と願えば願うほど、子どもへの対応は評価的、
指導的になってしまいがちです。
しかし、親子の関係は上下の関係ではありません。
たとえ、まだ未就学児の子どもであっても、親子の関係は横並びの関係です。
両者の間には上下はなく、相互尊重、相互補完の関係です。
親子の意見が対立する際に、
「あなたの言うことは間違っている」
「あなたはまだ子どもだから知らないのよ…」
このような気持ちで自分の考を示してしまうと、子どもの耳には何も入らなくなってしまいます。
「お母さんは何もわかってくれない」という寂しさや
「どうせ自分は駄目なんだ」と、自己評価の低下だけが残ってしまい兼ねません。
それでも、まだ知識の浅い子どもには、正しいことを伝えなければなりません。
子どもの言いなりではなく、子どもを受容しつつ、親の意見を伝えるということです。
「Iメッセージを使ってみる」が機能します。子どもを尊重しつつ、自分の意見を伝える際には、
「お母さんはこう思うよ」
Iメッセージで伝えることが役立ちます。更に、そう考える「理由」も説明すれば、子どもの理解が進みます。
「お母さんはどう思うのか」
「なぜ、そう思うのか」
その理由を親子で共有する意味合いで、子どもを信じて伝えましょう。
「まだ小さいからわからない」はNGです。
たとえ小さな子どもであっても、親が真剣に伝えれば、きっとその意味合いは理解できるはず。
自分の意見を伝えたら、再び子どもの気持ちを聴いてみるといいですね。
親子の関係が相互に尊重しあう関係となりそうです。親にとっては、子ども理解にもつながります。
共感と同感を分けて受容に向かう
子どもは自分の味方が欲しいので、何でも賛成して欲しいと言ってきます。
もちろん、賛成できることは、何でも賛成してあげるといいでしょう。
しかし、例えば、子どもが「友達のことを叩いてもよいんだ」と言った場合など、
到底賛成はできないですよね。
そんな時には、「そうだ、そうだ!」と同感することはなく、
それでいて、「それはだめだよ」と理由も聞かずに突き放すのでもなく、
「同感しなはいが共感はする」を実践してみてください。
「そうか、あなたはそんな風に感じているんだね」と受け入れ、
「あなたは怒っているんだね」と、子どもの今の気持ちを代弁し、共感してあげましょう。
その上で、自分の意見を伝えていく…。
同感はしないけれども、共感をすることで、子どもは他者の意見を受け入れやすい心情になることでしょう。
子どもを受容するとは、子ども理解から始まり、丁寧に関わっていくということ。受容されて育った子どもは、自分を受け入れることができ、他者をも受け入れることもできるように育つことでしょう。
他にも、わかったつもりの言葉があったら、是非自分なりに納得できるまで、深く調べてみてくださいね。
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