「待つ」から生まれる子どもの主体性
子どもが生きる未来社会とは、一体どのような社会なのでしょう。
そこには、私たち大人の想像を超える「日常」が広がっていることは間違いありません。
未来社会の創り手は子どもです。
そして、子どもには、そんな未来社会を生き抜く力が求められます。
自ら考え自ら行動する力です。
新しきを生み出す力であり、課題を突破する力でもあります。
他者と協働する力とも言えるでしょう。
かつてあった、「金太郎飴」さながら、マニュアル通りに動ける人間を育成するのではなく、
主体的な子どもが育つ環境を、私たち大人は工夫しながら整えていきたいものです。
主体的な子どもに育てたい
「どんな子どもに育てたいか?」という問いに、今どきの多くの親御さんは、
「主体的な子ども」「生きる力のある子ども」とお答えになります。
学歴があれば幸せになれるという方程式が崩れ、
今求められるのはイノベーションを起こす力。
「誰かに言われた通りにできる」ことはロボットに任せ、
人間だからこそできる力に、親御さんの意識も向かっていると感じます。
幼児教育においても、探求学習や体験学習が大人気。
子どもが自ら考え、行動するためには、狭いレールを取り払い、
子どもが自由に思考し、行動できる広い環境を設えなければなりません。
主体性を育てるためには、管理、支持、指導をできる限り排除し、
子どもが自由に遊べる空間、時間を準備するということです。
子どもの主体性を育てるコツ
では、どのようにして、子どもの主体性を育む「環境」をつくることができるのでしょうか。
ここでは「人的環境」、つまり人がどう子どもに関わるかに焦点を当て、
3つのコツをお伝えします。
□ 共通理解をあきらめない
子どもの主体性を育むためには、子ども目線になることが重要です。
「子どもの気持ちを丁寧に聴く・察する」、
「子どもを中心において考える」ことが大切と、多くの子育て本には綴られています。
しかし、実際に行動するのが難しいのです…。
親も人間、子どもとの生活は日常です。
常に自分の感情を押し殺して、子どもの気持ちを受け入れたり、
毎日子ども中心の生活を送るなど、言うのは簡単ですが、到底できません。
時間がいくらでもあるならまだしも、子育ての日常はとても忙しいのです。
それなら、一つだけ諦めないことをつくってみませんか。
「子どもと共通理解をすること」これだけは意識するということです。
共通理解とは、親が伝えたいことの「意味・理由」を子どもに伝え、
理解してもらうということ。
子どもが伝えたいことを親が理解することも含まれます。
この共通理解がおろそかになってしまうと、
となってしまいます。
ではどうやって?
価値観も見える世界も異なる二者間で共通理解に向かうためには、
「説明する」以外方法はありません。
たとえ相手が子どもであっても、丁寧に理由を説明しましょう。
子どもが言っていることが無茶苦茶であっても、この子はどう感じているのだろう、
と子どもの気持ちを探ってみましょう。
親が共通理解を諦めなければ、
子どもと同じ景色を見ることができるようになるかもしれません。
両者が同じ景色を見られるようになれば、そこから親子の対話が始まるかもしれません。
子どもの気持ちが聞こえてくるでしょう。
子どもの考えも聞こえて来るでしょう。
時間がかかる営みですが、子どもの主体性を育てるためには、
同じ目線で対話をすることがとても重要です。
□ 動く前に「言葉かけ」
生まれたばかりの赤ちゃんのお世話をする時に、
「おむつ変えるね」「朝だから窓を開けるね」等、子どもに話しかけていませんでしたか?
そんな子どもへの言葉かけは、子どもの成長とともに、
徐々に減ってしまう傾向があるように感じます。
忙しい日常、いちいち言葉かけなどするより、早く動かなきゃ、
という気持ちの表れかもしれません。
子どもの発話が多くなるため、こちらからあえて言葉を投げかけなくても…、
と感じるからかもしれません。
しかし、子どもへの言葉かけを意識することは、子どもの成長にはもちろん、
子どもの主体性を育むためにも重要です。
特に、子どもに何かをする際には、「◯◯するよ」と声をかけることが大切です。
なかなか食べないから、何も言わずに食事を片付ける
お客さんが来ることになったため、何も言わずに遊んでいるおもちゃを片付ける
このように、何も言わずに行動をすると、子どもはどう感じるでしょう。
子どもにも意思があります。
これからやろうと楽しみにしていることもあります。
好きなものを最後に残していたのかもしれません。
今からやろうと思っていたのかもしれません。
それなのに、何も言わずに…〇〇されてしまう。
これらは子どもを尊重した行為とは言えません。
子どもに何かをする際には、「◯◯するよ」と、先に言葉かけをすることが重要です。
急いでいるから、もう食事を片付けるよ
お客さんがくるからおもちゃしまうよ
子どもといっても一人の人間です。
子どもを尊重し、事前の言葉かけを怠らないようにしましょう。
他者から尊重される経験が子どもの主体性を育てます。
□ 「待つ」で子どもに合わせる
子どもには、もともと主体性があります。
ハイハイを始めた時も、手づかみで食べ始めた時も、
大人は何も言わないのに、子ども自らが動き出しませんでしたか?
「やってみたい」「面白そう」、このようなワクワク感が子どもの世界には沢山あり、
それらが主体的な行動を引き起こします。
しかし、子どもが生きる社会は大人が作っており、
そこには様々なルールがあるのです。
「〇〇をしてはいけない」だらけの日常には、子どもの自由があまりありません。
他者に合わせる方法ばかりが重視されてしまいます。
それでも、少しだけでも、子どもには自由を与えたいものです。
自由な空間、自由な時間があれば、子どもは主体的でいられるからです。
「待つ」を意識しましょう。
子どもは自分の考えたように動き、納得感・達成感を得ることができるようになるはずです。
本来持っている子どもの主体性が、更にぐんと育ちます。
子どもの「今」の表情は、3ヶ月後にはもう見ることができません。
3分でもいい、「待つ」を意識し、子どもの今を観察する時間を確保してみてくださいね。
皆さまの子育てを応援しています。
親も一緒に育っていく2歳からの学びの場
クロワール幼児教室
https://croire-youjikyousitu.com/
体験授業受付中
https://croire-youjikyousitu.com/taiken_shosai/
コメント